今年の年末調整は例年以上に厄介だ。定額減税があるためである。特に次の4つの点に注意すべきだ。
1つ目は合計所得金額だ。「年末調整の対象者は給与年収2000万円以下だから全員定額減税の対象」と思いたいところだが、実は違う。役員が個人の所有物件を会社に賃貸している場合、給与所得と不動産所得の合計が1805万円を超えることがある。こうなると年末調整は受けられても定額減税は受けられない。
2つ目は家族の異動だ。就職や離婚で家族が扶養から外れることがある。原則、年末時点で同一生計配偶者や扶養親族が要件から外れると控除も定額減税も受けられない。ただし死亡だけは特別だ。年の途中での異動理由が死亡ならば、配偶者控除や扶養控除、定額減税の対象になることを覚えておきたい。
3つ目は16歳未満の扶養親族だ。「扶養控除を受けられないから」と申告書に書かないケースが散見される。しかし16歳未満でも扶養親族は定額減税の対象となる。書き漏れに要注意だ。
4つ目は国外在住の家族だ。所得税では条件に見合えば所得控除を受けられる。しかし定額減税だと国外の家族は対象外となってしまう点を意識したい。
■参考:国税庁|令和6年分所得税の定額減税について(給与所得者の方へ)|
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/teigakugenzei_kyuyoshotoku.htm